Jimmy Eat World - I Will Steal You Back



ジミー・イート・ワールドというバンドは、かつての僕にとって特別なバンドだった。
「Sweetness」を初めて聴いた時の衝撃は未だに忘れがたい。メロディーが体中を突き抜けていくような感覚。youtubeで何度も何度も聴いた。バイト代でアルバムを買った。僕は「エモ」というジャンルの中で名盤と呼ばれるものをネットで調べて、少しづつ買っていった。

しかし、エモと呼ばれた一連のバンド群を聴いていくと、むしろこのジミー・イートこそがエモを売れ線モダン・ロック化させた張本人なのではないか、ということに気づいてしまった。そんな頃に投下されたアルバム『Chase This Light』はポップ・アルバムとして完璧な出来であったが、その完璧さが非常に油っこく感じてしまった。ぶくぶくと太ったサウンド・プロダクション。「Always Be」のPVで見たジム・アドキンスも少しぽっちゃりしていた。そう感じて以降、彼らは僕の中で特別では無くなった。

そもそも「ジミー・イート・ワールドは『Clarity』までだよね」「『Breed American』からはインディーロック感なくなってダメだよね」という論調は旧来のエモ・ファンから言われていたことで今更な話ではある。僕は「Sweetness」から入ったからそれが収録されている『Breed American』はもちろん好きで、次作『Futures』も好きだが『Chase This Light』はダメという、線引きがちょっとおかしい少数派なのかもしれない。

その後のアルバムは聴いてない。リード曲を聴く限り、あのころはニューレイヴとかエレクトロとか流行っていたのでそういう流れにも目配せしたのかな?って感じか。よりメジャー感が分厚くなった印象だ。少し前のオフスプリング新作もダンスチューンが入っていた覚えがあるのでみんな一度はそういうアプローチするのかなぁ。


しかし2013年現在(今は15年ですが曲リリース時です)、彼らのフォロワーというべきモダンなエモ・バンドたちは殆ど消えた。悲しいくらいに消えた。復活したフォール・アウト・ボーイもジミー・イート・ライクな曲なんて今更作らないだろう。
このPVを見る限り彼らの固定ファンはいるようだし、パイオニアとして流行に流されなかったのかある程度の人気は保っているように見える。やっていることは特に変わっていないが、サウンドは少し引き締まったようで、『Futures』を地味にしたような路線で、久々聴いてみると好感を持った。
青臭いクリーンギター、激しくはないが少しエッジの立ったオーバードライブ、疾走感、ジム・アドキンスの声と甘いメロディー。彼らの良さって、誠実っぽいところだったって思い出した。西海岸メロコア・パンクみたいに馬鹿まるだしじゃなく、デイブ・グロールの歌声のようにやかましくもない。ダイアモンド・ダストのようなキラキラしたイノセント。
『Clarity』の時代のようなストイックなメロディーからは程遠いし、「goodbye sky harbor」のようなアプローチも二度と無いのだろうけど、流行が過ぎた今だからこそ、自分たちの素の表情が出てきたのかなと感じた。

僕は、ジミー・イート・ワールドというバンドが好きである。

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