シュノーケル『SNOWKEL SNORKEL』(2006年)

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「若若男女(チャットモンチー・ベースボールベアー・シュノーケル」の中ではこのシュノーケルの1stが一番好きだったかもしれない…し、ベースボールベアーの『C』のほうが聴いていた気もするが、とにかく、福岡出身の3ピースバンド、シュノーケルの1stだ。

かなり前に聴き直した時は良くも悪くも優等生的で、突き抜け所がない中庸なポップ・バンドだなぁ、チャットモンチーやベボベと比べてブレイク出来なかったのもわかる……とか思ってしまったのだが、最近聴き直したら思い出補正も含めて楽しく聴けた。
ギターロックではありながらも節々にピアノやシンセ、打ち込みやストリングスを入れて(ライブではどうやってたんだろう)、ソングライティングも完成されているように思えるし、若かっただろうにポップ職人だと感じた。疾走チューンとしては代表曲であろうM-1「波風サテライト」、M-4「アマヤドカリとキリギリス」(非シングル曲では一番好きかも)、M-6「エスパー」があり、M-2「パントマイム」やM-6「エスパー」、M-10「REWIND」で四つ打ちや裏打ちハイハットを使い(テン年代の四つ打ちブームを経た今、00年代のバンドの四つ打ちの使い方、気になってしまいますよね)、ちょっと捻くれた印象のある歌い出しからオアシスばりのストリングス・バラードへなだれ込むM-5「62」、Weezerなんかを思わせる音色のシンセとともに(今聴くと)かなり激しめなギターサウンドを鳴らしたM-9「レコード」(まじ名曲)など、いろんな手を使ったアレンジは今聴くと唸る。ただ、基本はグッド・メロディーな歌が中心にある。M-3「旅人ビギナー」は昔からずっと好きで、くるり「ハイウェイ」を思わせるような曲だけど(笑)感傷的な名曲だ。「ご自慢の12口径にまた弾を込めてるのかい?/胸のコメカミへ照準合わせて/ロシアンルーレットみたいな危うい感覚で/果てをさまよって/記憶失って/夢を見てんだろうな」…こういった刹那的でロマンチズム溢れる歌詞世界がもっと全編に渡って前に出ていたらこのバンドのことがもっと好きだっただろうし、それが武器になるとも思っていたのだが、全体的には恋愛の歌詞が多めな印象で、彼らから感じられる「中庸感」も良し悪しというところなのかも。きっと00年代のロキノン系・ギターロックファンというのは独特な世界観に浸りたいみたいな(笑)のがあった気がしていて、それか衝動的なギターロックに身を任せたいみたいな…メレンゲとか、もしくはゴーイングアンダーグラウンドあたりすら結果的にそうだったのかもしれないけどポップな(J-POPに混ざっても違和感ないような)曲が作れるバンドは割を食った時代なのかもしれん。まぁ「粉雪」みたいにそれで売れればそれはそれでいいんだけどねェ。複雑な気持ちにもなるな。


でも、彼らの歌詞に先ほどふれたロマンチズムとか感傷的な部分とかって節々にあって、「現状にこの手はすくんでしまって/ヒビ入った殻の中で小さくなった(M-4)」、「とりわけ僕には取り柄など/無いように見えるだろうけれど/本当にそうだよ/力も金も甲斐性もなし/頭の中はマンガの話/それしかないかも/干上がった脳みその奥の奥へと/降り出した雨よ左から右へと/逃げ込んで(M-9)」、「出会いと別れを繰り返してもなお/僕はこんなにも子供のままだ(M-1)」とか。やっぱね、ちょっとひねてる言葉も吐くんですよ。こういうところって当時のファンにも支持されてたんじゃないかなと。

そして、結局は俺、西村晋弥の声好きなんですよ。青臭い感じが。やっぱり曲の良さと声だと思うんですよね。今聴き直して良いなって思うのは結局ここかもしんないです。


で、セカンドアルバム→ベストアルバムと出して休止、まぁ事実上の解散だと思いますが2014年に再始動して、今でも活動中です。ナルト効果でブラジルでライブ、最近でもたしか中東の国でライブしたみたいな話も見かけたし、いまX(旧ツイッター)見たらポルトガルでライブやったそうです。凄い。アニメ効果とはいえ、こんな未来を誰が予想したというのでしょうか。ここまで行くと完全に(同年代のギターバンドと比べて)独自路線だと思います。いろんな勝ち方があり、いろんな音楽人生がある。すげーね。